「最近、玄関前に荷物が置かれるようになった」——そう感じている方は多いのではないでしょうか。置き配(指定場所配達)は、ここ数年で急速に普及した新しい配送スタイルです。
しかし、置き配の普及はドライバーの仕事にどんな影響を与えているのでしょうか。「再配達が減って楽になった」という声がある一方で、新たな課題も生まれています。この記事では、置き配の普及によって変わったこと・変わっていないこと・今後の物流業界の見通しまで、わかりやすく解説します。
置き配とは?急速に普及した背景
置き配とは、配達員が荷物を受取人に手渡しするのではなく、玄関前・宅配ボックス・ガスメーターボックスなど、あらかじめ指定した場所に荷物を置いていく配送方法のことです。
もともとは不在時の対応策として活用されていましたが、コロナ禍における非接触ニーズの高まりをきっかけに一気に普及しました。また、Amazonが2019年に置き配をデフォルト設定にしたことで、一般への認知度が大きく上がりました。
置き配が普及した主な理由は以下の通りです。
- 不在再配達の削減:日本全体の再配達率は一時10%以上に達しており、ドライバー不足の一因になっていました
- 非接触ニーズの高まり:コロナ禍を経て、対面での受け取りを避けたいという消費者が増えました
- EC市場の拡大:ネット通販の利用増加により荷物量が急増し、効率化が必要になりました
置き配の普及でドライバーにとって何が変わった?
良い変化:再配達の負担が減った
置き配最大のメリットは、不在時の再配達が大幅に減ったことです。以前は1日の配送のうち2〜3割が「不在による持ち戻り・再配達」だったケースも多く、ドライバーにとって大きな負担でした。
置き配の普及によって、一定数の再配達が削減されています。再配達が減ることで、1日に配送できる件数が増え、効率よく仕事をこなせるようになりました。そのため、ドライバーの拘束時間の短縮にもつながっています。
良い変化:配送計画が立てやすくなった
手渡し配送では「受取人が在宅しているか」という不確定要素がありましたが、置き配であれば在宅確認が不要です。したがって、配送ルートや時間の計画が立てやすくなり、効率的な運行が可能になりました。
新たな課題:盗難・トラブルへの対応
一方で、置き配の普及に伴い新たな問題も生まれています。最も多いのが「荷物の盗難」「雨濡れ」「配達完了したのに届いていないというクレーム」です。
こうしたトラブルへの対応がドライバーに求められるケースがあり、精神的な負担になることもあります。また、置き配完了の証拠写真撮影など、以前はなかった作業が加わっているケースもあります。
新たな課題:再配達率の下げ止まり
実は、荷物の取扱数は増え続けているのに対し、再配達率はほぼ横ばい状態が続いています。これは、置き配で再配達が減った分を上回るペースで荷物量が増加しているためです。つまり、再配達の件数自体は増え続けているという現実があります。
物流業界全体の最新事情:2026年現在
荷物量は増え続けている
EC市場の拡大により、宅配便の取扱量は年々増加しています。一方で、ドライバー不足は依然として深刻であり、2027年には日本のトラックドライバーが24万人不足すると推計されています。つまり、「運ぶ荷物は増えるのに、運ぶ人が足りない」という構造的な問題は解消されていません。
2026年問題:新たな規制が物流に影響
2026年4月から物流効率化法が全面施行され、特定の荷主企業には物流効率化への取り組みが義務付けられました。これにより、荷待ち・荷役時間の短縮や積載効率の向上が求められるようになっています。したがって、荷主と運送会社が一体となって物流を効率化する動きが加速しています。
宅配ロッカー・オープン型ロッカーの普及
置き配と並んで普及が進んでいるのが、駅・コンビニ・マンションに設置された宅配ロッカーです。受取人が自分の都合のいい時間に荷物を受け取れるため、再配達削減に大きく貢献しています。また、オープン型ロッカー(PUDOステーションなど)の設置箇所も全国で急増しており、ドライバーの配送効率化に役立っています。
ドライバーの仕事はこれからどう変わる?
置き配・宅配ロッカーの普及は、ドライバーの仕事をより「効率重視」の方向に変えています。具体的には、以下のような変化が進んでいます。
① 1日の配送件数が増える傾向 手渡しが不要な置き配・ロッカー配送が増えることで、1日に配送できる件数が増えています。これはドライバーの収入アップにつながる一方、体力的な負担が増す側面もあります。
② デジタルスキルが求められるようになる 置き配完了の写真撮影・アプリへの入力・ロッカーの操作など、デジタルツールを使いこなす能力が求められるようになっています。しかし、多くの会社でこれらのツールの使い方は丁寧に研修されるため、未経験者でも安心して始められます。
③ ドライバーの専門性がより重要になる 荷物量が増え続ける中でも、輸送能力には限界があります。そのため、効率的な配送ができるドライバーの価値は今後さらに高まっていきます。経験・技術・安全意識の高いドライバーは、業界内での市場価値が上がり続けるといえます。
まとめ
置き配の普及によって、ドライバーの再配達負担は一定程度減少しました。しかし一方で、荷物量の増加・盗難などのトラブル対応・デジタルツールへの対応という新たな課題も生まれています。
また、2026年問題や物流効率化法の施行など、物流業界を取り巻く環境は急速に変化しています。そのため、こうした変化に柔軟に対応できるドライバーの需要は、今後も安定して高い水準が続くでしょう。
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